開催案内
昨年秋からの世界的な金融・経済危機の広がりを受け、景気の落ち込みは予想以上のスピードで進んでいます。雇用情勢をみても急速に雇用過剰感が広がっており、輸出関連製造業における派遣労働者や期間工の失業などが社会問題化しています。こうした状況下では、短期的にはセイフティー・ネットの拡充など「安心」を確保するような緊急的・応急的措置を行うことが重要でありますが、こうした時期だからこそ、長期的な視点に立って働き方そのものを抜本的に見直す機運が高まっているともいえます。特に、働き方の「柔軟性」を高めることは、経済危機を乗り越えることばかりでなく、正規雇用の長時間労働の問題是正やワークライフバランスの更なる推進の大きな鍵となっております。
以上のような問題意識の下、本政策シンポジウムでは、働き方の根幹を成す労働時間の問題について焦点を当てます。第1部では、生活者の「目線」に立った労働時間推移の分析とともに、ホワイトカラーに対する労働時間規制の適用除外の影響、ワークシェアリングの実現可能性、について報告・議論を行います。第2部では、労働時間に対する政府の関与のあり方を検討し、労働時間法制の再構築に向け具体的な立法的課題も含めて提言・議論を行います。第3部では、学界、企業、労働、政府を代表する有識者にお集まりいただき、労働時間から労働市場制度全般に視野を広げた上で、世界経済危機の下での雇用・労働政策のあり方について、パネル・ディスカッションを行います。
イベント概要
- 日時:2009年4月2日(木) 9:30-18:05
- 会場:東海大学校友会館 阿蘇の間 (東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビル33F)
- 開催言語:日本語(同時通訳なし)
- 参加費:2,000円(学生 1,000円。交流会費を含む)[公印を捺印した領収書を発行いたします。]
- 主催:独立行政法人経済産業研究所
- お問合せ:RIETI にしき Tel: 03-3501-8398 Fax: 03-3501-8416
※シンポジウム終了後、インターネットにて当日の模様の一部をビデオ映像でご紹介(動画配信)する予定です。また資料も後日、本サイトからダウンロードいただけます。
プログラム
9:30 - 09:35 開会挨拶
藤田 昌久 (RIETI所長・CRO/甲南大学教授/京都大学経済研究所特任教授)
9:35 - 10:05 報告(総論)
「日本の働き方をいかに変えるか:本政策シンポジウムの鳥瞰図」
鶴 光太郎 (RIETI上席研究員)
10:05 - 12:35 第1部:労働時間の実証分析(経済学からのアプローチ)
10:05 - 10:35 報告「日本人の労働時間は以前より短くなっているのか」
黒田 祥子 (東京大学社会科学研究所准教授)
10:35 - 11:05 報告「ホワイトカラー・エグゼンプションは労働者の働き方にどのような影響を与えるのか」
山本 勲 (慶應義塾大学商学部准教授)
11:05 - 11:35 報告「ワークシェアリングは機能するのか」
川口 大司 (RIETIファカルティフェロー/一橋大学大学院経済学研究科准教授)
11:35 - 12:05 コメント
山口 一男 (RIETI客員研究員/シカゴ大学ハンナ・ホルボーン・グレイ記念特別社会学教授)
12:05 - 12:35 Q&A
12:35 - 13:30 ランチブレイク
13:30 - 15:10 第2部:労働時間法制の再構築(法学からのアプローチ)
13:30 - 14:00 報告「労働時間法制の課題と改革の方向性」
水町 勇一郎 (東京大学社会科学研究所准教授)
14:00 - 14:30 報告「ホワイトカラーの労働時間法制の立法的課題」
島田 陽一 (早稲田大学大学院法務研究科教授)
14:30 - 14:50 コメント
荒木 尚志 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
14:50 - 15:10 Q&A
15:10 - 15:30 コーヒーブレイク
15:30 - 18:00 第3部:パネル・ディスカッション
「世界経済危機の下での雇用・労働政策のあり方」
モデレータ
樋口 美雄 (慶應義塾大学商学部教授)
パネリスト(五十音順)
大竹 文雄 (大阪大学社会経済研究所教授)
小川 誠 (厚生労働省職業安定局雇用政策課長)
長谷川 裕子 (日本労働組合総連合会 (連合) 総合労働局長)
輪島 忍 (社団法人日本経済団体連合会労政第二本部労働基準グループ長)
17:30 - 18:00 Q&A
18:00 - 18:05 閉会挨拶
及川 耕造 (RIETI理事長)
18:05 - 19:05 交流会
*上記プログラムの講演内容および講演者は状況により変更することがありますのでご了承下さい。