研究テーマ

2003年度主要政策研究課題

産業組織と政策・経営クラスター

IT革命、経済のグローバル化など、急速に変化する経済環境の中で、戦後「日本的経営」で成功を収めてきた日本企業は困難に直面しており、新たな経営手法や組織のあり方を模索しつつあります。本クラスターは、こうした環境変化の本質的側面を分析し、日本企業の将来像を描く試みを行っています。また、政策ケースの蓄積に資する観点から、我が国における産業政策と産業組織の変遷に関する研究も行っています。

規制・競争政策・行政評価クラスター

技術革新動向の分析、欧米諸国における近年の規制理論・規制改革の分の上に立ち、我が国の電力・通信市場等における規制制度・競争政策のあり方について理論的・実証的な研究を行っています。また、各種政策が社会に与える影響を数量的に分析するモデルの開発も行っています。

雇用契約・セーフティネットクラスター

日本企業のコーポレート・ガバナンスが変化し、社会的価値観や雇用形態が多様化する中で、従来の硬直的な雇用システムはより柔軟でオープンなものへと転換しつつあります。技術革新の急速化に伴い、雇用のミスマッチも問題となっています。本クラスターでは、こうした状況の中でいかなる労働法制整備が必要か、また医療制度や社会保障制度の面でいかなるセーフティーネットの整備が求められるか等についての研究を行っています。

研究開発・技術・産学連携クラスター

本クラスターは、技術革新のスピードアップとイノベーション能力の重要性の高まりという経済環境の変化の中で、産業技術力強化の観点から、創造的な研究開発メカニズム、技術波及メカニズム、産学官の連携等のあり方、競争的な研究開発環境形成のための制度整備等に関する研究を行っています。また、知的生産物の公共財的性格を考慮しながら、望ましい知的財産権制度に関する理論的・政策的研究も行っています。

国際経済関係クラスター

今日の経済のグローバル化は、貿易や投資を通じた各国間の関係の深化といったこと以上に複雑な側面を併せ持っています。また、中国の台頭に見られるように、各国の国際的なプレゼンス・経済的地位も変動しており、諸国間の利害関係の調整も複雑化しています。このクラスターでは、こうした状況の中で求められる新たな国際政治経済レジームのあり方に関する法制的、経済的、政治的視点からの多面的かつ学際的な研究を行っています。

アジア経済・地域統合クラスター

中国台頭等の国際比較優位変動の中で、アジア諸国との関係をいかに構想・構築するかが日本にとって重要な政策課題となっています。本クラスターはこの課題に応えるため、アジア域内の経済動向や経済関係、さらにはそれらに影響を与える安全保障に関する研究を行っています。また、増大する人・情報・資源の移動に対応する新秩序形成に向けたアジア諸国間の対話と協調が重要であるとの視点から、アジア諸国の研究者、行政官等とのネットワーク形成に努めています。

政治経済システムクラスター

従来の経済学は、政府組織が多様な利害の交錯する場であるという事実を軽視してきました。しかし、政策過程における多様な利害関係の分析抜きには、有効かつ実現可能な制度改革の構想は不可能です。本クラスターでは、こうした政治と経済の相互関係の分析、制度改革に必要な戦略的視点、NPOやNGO等の市民の役割などについての研究を行っています。

マクロ・金融・財政クラスター

官僚制多元主義のもと、開発途上国家の要素を伴いつつ欧米への急速なキャッチアップを果たした日本は、変化しつつある環境の中でより生産的な新しい官と民の関係を創出すべき状況に置かれています。また、公共事業を存立基盤とする、政府に依存した産業や地方のあり方は、財政政策の役割の見直しによって変化させていく必要があるでしょう。本クラスターでは、これらの課題を理論的・実証的に分析しています。

計量分析・データベースクラスター

本クラスターは企業データ等のオリジナルデータを用いた実証分析や、一般均衡モデルによる政策シミュレーションを実施し、政策形成に必要な定量的分析結果を提供するとともに、産学連携や非営利法人の実態に関するデータ収集も行っています。また、作成したRIETI独自のデータは、将来一般の研究者が用いることのできる形で提供する予定です。