執筆者 |
大竹文雄 (大阪大学) /奥平寛子 (大阪大学大学院/日本学術振興会) |
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発行日/NO. | 2008年5月 08-J-019 |
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概要
本稿では、長時間労働を規制することの経済学的根拠について整理を行い、行動経済学的視点からアンケート調査を用いた実証分析を行った。分析の結果、前年と比較して健康状態が改善すると週60時間以上の長時間労働を行う確率は有意に増加するが、健康状態が悪化したからといって長時間労働を行う確率は減少しないことが示された。また、男性管理職では、もともと仕事を先延ばしする特性を持つ場合、週60時間以上の長時間労働を行う確率が有意に高くなる。一方、女性労働者や管理職以外の男性労働者では、先延ばし行動が長時間労働を促す効果は確認されなかった。男性管理職の先延ばし行動による長時間労働は職場に負の外部性をもたらしている可能性があり、強制的に定時で仕事を終わらせるコミットメントメカニズムが必要である。