中国との運命共同体化進む

YOO, Michael
RIETIリサーチアソシエイト

「北東アジアは世界経済の5分の1を占めている。朝鮮半島は中国と日本、大陸と海洋を結ぶ橋である」廬武鉉大統領は先月25日の大統領就任式で、「北東アジア時代構想」を演説した。北東アジア構想とは、グローバル時代に歩調をあわせた廬武鉉政府の経済関連の青写真でもある。

北東アジア構想の核心は、一言で言えば、中国だ。韓国は、中国の経済的なパワーを背景に日本と大陸とを連結させる役割を演じ、北東アジアの繁栄を主導しようと狙っている。

中国に対する期待と希望は、現在、韓国の間で急速に接近する3つの面を背景にしている。

1つ目は、経済面だ。韓中修好の10年目を迎えた昨年9月の基準で、韓国の対中国輸出(香港包含)比重は約20.3%で首位を獲得し、対米輸出比重20.2%を追い抜いた。朝鮮戦争以後、初めて韓国の対中輸出が対米輸出を超過した瞬間だった。

中国全体の総貿易規模4451億ドルのうち、韓国の比重は01年9月基準で309億ドル、約7%。韓国はすでに、日本、アメリカに次ぐ対中貿易のビッグ3に入っている。

2つ目は人的、文化面の接近だ。両国間の1年間の交流は約200万人を越える。韓国人の海外旅行では中国が第1位である。韓国を訪問する外国人のトップも01年には中国になった。

3つ目は政治で、韓国の反米感情が広がる中で、中国は北朝鮮の核問題、統一問題、脱北者問題解決の鍵となり、アメリカに変わる友邦強国として期待されている。韓国政府は1月初旬、北朝鮮の核開発のための特使を送った際、中国を第1の訪問先に決めた。軍事同盟国の米国ではなかったのである。

ここ10年の関係で中国はすでに50年来の友だちであるアメリカを飛び越え、韓国の生活に深く染みこんでいる。両国の急激な関係増進は朝鮮戦争以後韓国が歩いてきた「脱中国方針」が崩れ、「入大陸政策」に転換したことを意味する。

日清戦争以前の北東アジアの秩序であった韓中運命共同体の構図に戻っている。朝鮮半島で吹き荒れている中国熱風は、21世紀の北東アジアの歴史的変化を予感させる。

2003年3月29日 毎日新聞「世界の目」に掲載

2003年5月7日掲載

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