| 執筆者 | 小宮山 涼一(東京大学) |
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| 発行日/NO. | 2026年10月 26-J-043 |
| 研究プロジェクト | 電力市場のシステム・デザインとわが国への示唆 |
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概要
本稿では、カーボンニュートラルの実現とエネルギー安全保障の確保を見据え、最適化型エネルギー需給モデルを用いて、長期的なエネルギー技術選択やエネルギー需給構造に関して定量的に分析する。近年、地政学的リスクの高まりやエネルギー価格の変動に加え、脱炭素化に向けた政策が強化される中、温室効果ガス排出削減とエネルギー安定供給を両立するエネルギーシステムの構築が重要な課題となっている。本稿では、CO2排出制約を設定の上、2050年までの長期的なエネルギー需給を分析することで、一次エネルギー供給構成、電源構成、電力需要、エネルギー自給率、およびCO2限界削減費用等への影響を分析した。その結果、CO2排出制約が強化されるにつれて、再生可能エネルギーの導入と電力化が進展し、エネルギー自給率も向上する傾向が示された。これは、脱炭素化がCO2削減に加え、化石燃料輸入への依存度低減を通じて、エネルギー安全保障の強化にも貢献し得ることを示唆する。一方、電力化の進展に伴ってエネルギーシステムにおける電力の役割が一層高まることから、再生可能エネルギーの大量導入を含め、電力の安定供給を確保するための柔軟性・調整力等の確保がさらに重要となる。また、CO2排出制約の強化は、CO2限界削減費用やエネルギーシステム総コストの上昇を伴う可能性も示された。以上の結果は、将来のエネルギー需給構造を検討する際、脱炭素化、エネルギー安全保障および経済性を相互に関連する課題として考え、それらのバランスを考慮した政策設計が重要であることを示唆している。