人々は何をもって「復興」と感じるのか ― 公的統計と意識調査による能登半島地震の分析

執筆者 小西 葉子(上席研究員(特任))/齋藤 敬(コンサルティングフェロー)/伊藝 直哉(株式会社インテージリサーチ)/伊藤 千恵美(株式会社インテージリサーチ)
発行日/NO. 2026年3月  26-J-013
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概要

本研究は、2024年能登半島地震を対象に、公的統計と全国規模の意識調査を統合し、地域の回復過程を構造・行動・認識の三つの側面から分析する。まず、経済センサスを用いて震災前の地域構造を整理し、生産動態統計および商業動態統計を分析して震災前後の経済活動の変化を把握する。さらに、全国約2万人を対象とした独自調査により、人々が復興をどのように認識しているのかを検証する。分析の結果、能登地方では震災後、生産活動が大きく落ち込んだことを確認した。一方で、地域の産業構造や資本構造の特徴を踏まえると、経済活動の回復が統計上観測されにくい条件が震災前から存在していた可能性がある。また、アンケート調査より、復興認識は時間の経過とともに段階的に形成され、災害や地域との接点が弱い層ほど復興を具体的に想像しにくい傾向が確認された。これらの結果は、復興は災害後の変化だけで決まるものではなく、震災前の地域構造や社会との接点と連続した過程として理解される必要があることを示した。