執筆者 | 川上 淳之(東洋大学)/鶴 光太郎(ファカルティフェロー)/久米 功一(東洋大学) |
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発行日/NO. | 2024年10月 24-J-026 |
研究プロジェクト | AI時代の雇用・教育改革 |
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概要
本論文は、スキル、ビジネス・アイデア、人的ネットワーク、ストレス解消の4つの指標について、副業が本業の役に立つか否かをアウトカム指標としてみた副業経験の本業に与える影響が、本業・副業の業種や職種の類似性によってどのように異なるかを分析する。(独)経済産業研究所「Withコロナ・AI時代における新たな働き方に関するインターネット調査」から副業保有者の情報を得るとともに、同調査の本業と副業の職業情報に対応する各職業に関する仕事に求められるタスクの情報を、厚生労働省「日本版O-NET」から得て、本業・副業の職種の類似性を示すタスク距離を作成した。まず、スキルについては、同業種において、本業と近いまたは離れている職種の副業を持つことが効果的である。ビジネス・アイデアについては、異業種において、本業と近いまたは離れている職種の副業を持つことが効果的である。人的ネットワークについては、同業種において、本業から離れている職種の副業を持つことが効果的である。ストレス解消については、異業種の副業を持つことが効果的であり、職種による違いはみられなかった。副業の効果としてオープンイノベーションが政策的にも期待されてきたが、それに資するビジネスのアイデアの獲得、人的ネットワーク形成においてそれぞれ同業種、同職種よりも離れた経験が得られる副業が有効であることを実証的に明らかにした意義、政策インプリケーションは大きいといえる。