データ・ローカライゼーションに関する考察:企業に与える影響と政策目的を踏まえたアプローチを中心に

執筆者 今野 由紀子(長島・大野・常松法律事務所)
発行日/NO. 2024年3月  24-J-007
研究プロジェクト 現代国際通商・投資システムの総合的研究(第VI期)
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概要

データ・ローカライゼーション措置は、国際的なデータ流通の問題の一つとして広く認識されており、今後データ量が増大するにつれて益々大きな問題になりうる。一部の新興国では、さまざまな政策ツールを用いてデータ・ローカライゼーション措置が提案されており、グローバルに事業を展開する企業にとって、経済的な負担を伴う課題となっている。本稿では、データ・ローカライゼーション措置の導入目的を整理し、その多様性を明示するとともに、企業への影響についても俯瞰する。また、データ・ローカライゼーションが必ずしも特定の政策目的に貢献しないことや、より制限的でない代替策が存在する可能性についても議論する。データ・ローカライゼーションに対する政策アプローチとしては、引き続き、通商ルールにおける関連規定との整合性を志向し、データ・ローカライゼーション政策の導入に厳格な姿勢を維持することの重要性に触れる。一方で、データ・ローカライゼーション措置がもたらす事業者への影響の観点から、政策目的を達成するための実効性について検証するとともに、より制限的でない代替案を示すことの重要性についても、提言する。