電力システムの経済学Ⅲ:発電における非凸性と電力市場設計

執筆者 金本 良嗣(政策研究大学院大学)
発行日/NO. 2023年11月  23-J-048
研究プロジェクト 電力市場のシステム・デザインとわが国への示唆
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概要

電力システムには市場の失敗をもたらす厄介な技術的特性がいくつもあり、電力市場の設計は容易でない。それらのうちであまり知られていないが知的にチャレンジングなのが、発電機の起動コストや最低出力制限によってもたらされる非凸性(Non-convexity)である。これらの非凸性が存在すると、競争的市場均衡の存在が保証されないので、電力市場の設計には工夫が必要である。日本でも起動コストの問題が深刻になってきており、電力市場の再設計が検討されている。本稿では、発電における非凸性への対応について、欧州型と米国ISO型の2つのアプローチを概観する。さらに、非凸性下のプライシングに関する最近の議論や自然変動電源の増加にともなって発生している大きな予測誤差に対する対応をとりあげる。