中国における「ビジネス環境の最適化」と「中央地方関係」の再構築に関する考察

執筆者 孟 健軍(客員研究員)/潘 墨涛(武漢大学政治と公共管理学院)
発行日/NO. 2022年3月  22-J-012
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概要

中央政府は、2015年に世界銀行が発表した「ビジネス環境の最適化」の理念に沿った国内におけるビジネス環境の改革を推進してきた。一方、地方政府は、それらの政策実践の試行錯誤を通じて、より幅広い行政改革に着手した。これにより、最も根本的な制度環境である伝統的な「中央地方関係」は、地方のそれぞれの特質と制度の革新を融合し、「中央⇔省⇔都市」の間に多様化した制度関係を構築している。
本稿では、ゲーム理論を用いて中央政府と省レベル政府の間の政策決定関係を分析すると同時に、事例分析の比較を通じて都市政府が推進する制度改革を考察する。われわれの分析結果によると、中国における「ビジネス環境の最適化」に関連する政策の拡散、学習、および革新の過程で、中央政府は、地方政府の独自の制度的革新に対して全体的に黙認し、支援している。また、各々の地方で、経済力、具体的な改革分野および行政文化などの要素が違うことを考慮し、「中央⇔省⇔都市」政府の3つの間に多様性のある均衡関係を示し、自発性と適応性の両立を目指して地方政府が柔軟な制度設計を行っている。