人流と新型コロナウィルス新規感染者数変化率の動的関係とワクチンの役割

執筆者 井上 智夫(成蹊大学)/沖本 竜義(客員研究員)
発行日/NO. 2022年1月  22-J-002
ダウンロード/関連リンク

概要

2019年末に発生した新型コロナウィルスは、全世界を大きな混乱に巻き込み、未だ収束には至っていない。そのため、新型コロナウィルスの感染者数を抑制することは、今でも多くの国の主要な政策目標となっている。本稿は日本国内の20都道府県の週次集計データをもとに、人流と新規感染者数変化率の動的関係を分析し、国内で実施されてきた人流抑制やワクチン接種の政策効果、ならびに気候要因の感染者数への影響を計量経済学的な手法に基づいて評価することを目的としている。分析から、[1]緊急事態宣言の発令や(飲食店の営業規制に関係すると考えられる)小売店・娯楽施設への人流抑制には新規感染者数変化率を押し下げる効果が、また[2]ワクチン接種には感受性人口の減少という点では有意な効果は見られなかったが、人流増と新規感染者数変化率との関係を有意に低下させる効果が確認され、経済再活性化政策を施行するうえで参考になると考えられる示唆が得られた。

※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:22-E-011