日本の金融仲介コストの長期推計

執筆者 郡司 大志(大東文化大学経済学部)/小野 有人(中央大学商学部)/鎮目 雅人(早稲田大学政治経済学術院)/内田 浩史(神戸大学大学院経営学研究科)/安田 行宏(一橋大学大学院経営管理研究科)
発行日/NO. 2021年9月  21-J-048
研究プロジェクト 企業金融・企業行動ダイナミクス研究会
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概要

本稿の目的は、日本の金融仲介コストを長期推計することである。Philippon (2015)、Bazot (2018a) は、金融仲介コストを、金融業が非金融部門に対して提供した金融仲介サービス額(分母)と、それによって得た所得(分子)との比として定義し、アメリカ、欧州のデータを用いて長期推計している。本稿では、金融業所得に関して、現在の日本の国民経済計算体系(SNA)上は認識されないいくつかの項目(貸出以外の資産運用に関する損益、トレーディング損益、信用コスト)を考慮して、金融仲介コストを計測した。計測の結果、日本の金融仲介コストは、アメリカ、欧州の複数の国々のそれとは異なり、SNAで認識されない所得項目を含めても長期的に低下傾向にあることが分かった。

※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:23-E-076