執筆者 | 佐々木 周作 (東北学院)/齋藤 智也 (国立感染症研究所感染症危機管理研究センター)/大竹 文雄 (大阪大学) |
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発行日/NO. | 2021年4月 21-J-023 |
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概要
本稿では、新型コロナウイルス感染症・発症予防ワクチンの接種意向を、人々の自律性を阻害することなく強化できるのはどのような表現のナッジ・メッセージなのかを探究する。2021年3月、1,595名を対象にしたオンライン・サーベイ実験を日本で実施して、3種類のナッジ・メッセージが回答者の接種意向及び自律的な意思決定や精神的負担の水準に及ぼす影響を比較検証した。分析結果から、「あなたのワクチン接種が周りの人のワクチン接種を後押しする」と伝えるメッセージが高齢層で接種希望者を増やす効果を持つことが分かった。同じ内容を「あなたが接種しないと周りの人のワクチン接種が進まない」と損失表現で伝えるメッセージや「同年代の10人中X人が接種すると回答している」と伝えるメッセージは、既に接種を受けるつもりでいた高齢層の意向をさらに強化することが分かった。但し、損失メッセージからは閲覧者の精神的負担を強める可能性も示唆された。本稿では、以上の結果を踏まえて、ワクチンの自発的な接種行動を後押しするためのナッジ・メッセージの使い方を提案する。
Published: Sasaki, Shusaku, Tomoya Saito, and Fumio Ohtake, 2022. "Nudges for COVID-19 voluntary vaccination: How to explain peer information?" Social Science & Medicine, Volume 292, 114561.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0277953621008935