旅行と新型コロナ感染リスク:第三波前の個票データによる分析

執筆者 中田 大悟 (上席研究員)
発行日/NO. 2021年1月  21-J-001
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概要

本研究では、旅行が新型コロナ感染リスクに与える平均処置効果(ATEおよびATT)を、傾向スコアを用いたマッチング推計と逆確率重み付き推計を行い推定する。分析に用いるのは、2020年10月27日から11月6日に、インターネット調査会社のモニターを対象として行われた、有効回答数16,642名のアンケート調査(パネル調査の第一回目)の個票データである。分析の結果、旅行が感染症状発現リスクと新型コロナ感染リスクについて、有意な影響を与えているという先行研究の結論が再確認されている。さらに回答者の属性別にみた分析からは、旅行の感染リスクが高いのは、若年、男性、感染拡大地域在住、友人知人との直接接触が多い、という属性を持った人たちであり、老年世代、女性、非感染地域在住、知人との直接接触を抑制、という属性の人たちにとっては、旅行は相対的には低リスクないしは有意なリスクではなかったことが示された。