自然実験としてのアルゴリズム:機械学習・市場設計・公共政策への統一アプローチ

執筆者 成田 悠輔 (客員研究員)/粟飯原 俊介 (ZOZOテクノロジーズ、半熟仮想株式会社)/齋藤 優太 (東京工業大学、半熟仮想株式会社)/松谷 恵 (ZOZOテクノロジーズ)/矢田 紘平 (イェール大学)
発行日/NO. 2020年12月  20-J-045
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概要

公共政策からビジネスまで、機械学習や市場設計などのアルゴリズムを利用した意思決定が広がっている。その際に重要なのが、過去に使われたことのない新しい意思決定アルゴリズムの性能を予測することだ。正確な性能予測は着実なアルゴリズム改善に資する。この論文は、過去に使われたアルゴリズムが自然に蓄積したデータを用いて、未知のアルゴリズムの性能を予測する技法を提案する。この方法は幅広いアルゴリズムに適用可能で、使える場面はウェブ広告配信・価格設定・金融機関の審査のようなビジネスから、裁判の判決、データ駆動教育・医療、そして教育・労働市場設計やオークションなどの公共政策まで多岐にわたる。具体的な応用として、私たち自身が行ったファッションECサービスZOZOTOWN上での実装を紹介する。そこで用いた数千万件のファッション推薦データとコードはオープンソースでGitHub上で開放中だ。最後に、同じ技術を用いて様々な政策領域の評価・設計・予測も行えるという未来展望を与える。