中国における電子商取引分野に関する法規制―独占禁止法、反不正当競争法及び電子商取引法を中心に―

執筆者 川島 富士雄 (神戸大学)
発行日/NO. 2020年4月  20-J-022
研究プロジェクト 現代国際通商・投資システムの総合的研究(第IV期)
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概要

中国においてはアリババが運営するECモール(タオバオ、Tモール)に代表される電子商取引が急拡大しただけでなく、日本以上にスマホ決済が普及したことを受け、配車サービス、シェア自転車、ネット出前等さまざまなIT関連の新事業が展開されている。現在、そうした新事業者は、資本関係等を通じて、上記のECモール第1位のアリババ(電子決済サービス・アリペイも運営)とテンセント(10億超のユーザーベースを有するウィーチャット(中国版LINE)や電子決済サービス・ウィーチャットペイを運営)のいずれかのグループに統合され、2大ITコングロマリットが形成されつつある。本稿では、日米欧においてGAFA(Google、Apple、Facebook及びAmazon)に代表されるIT大手事業者に対する独占禁止法・競争法等による法規制が強化されつつある現状と対比しながら、中国におけるIT大手事業者に対する法規制、とりわけ独占禁止法、反不正当競争法及び電子商取引法の規制の動向を、具体的事例を交えながら紹介し、その特徴と限界を明らかにし、かつ海外市場での規制や国際ルール形成に対しどのような示唆が得られるか検討する。