日本の公務員賃金プレミアムに関する分析-PIAACによる認知能力データを用いて-

執筆者 荒木 祥太 (研究員(非常勤))
発行日/NO. 2020年3月  20-J-017
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概要

この論文では、PIAAC(The Programme for the International Assessment of Adult Competencies)データを用いて、人的資本では説明できない公務員賃金プレミアムの大きさを推定した。この研究では、伝統的なミンサー型賃金関数で制御される共変量に認知スキルを追加することにより、賃金プレミアムを推定している。主な調査結果は次のとおりである。PIAACで観察される認知能力を含む人的資本では説明できない公務員賃金プレミアムは、男女ともにフルサンプル(フルタイム労働者とパートタイム労働者を含む)において約4〜5対数ポイントであった。従来の統計データでは観察できないこのような認知スキルは、公共部門と民間部門の労働者の賃金格差を説明する重要な要素である。このような認知スキルを制御せずに推定すると、公共部門の賃金プレミアムに上方バイアスが生じる可能性がある。