執筆者 | 小西 葉子 (上席研究員)/齋藤 敬 (経済産業省) |
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発行日/NO. | 2020年2月 20-J-014 |
研究プロジェクト | 産業分析のための新指標開発とEBPM分析:サービス業を中心に |
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概要
2012年以降、インバウンド旅行者数は毎年増え、毎年観光関連の経済指標の新記録が更新されている。一方で、オーバーツーリズムや二国間関係の悪化による旅行者の急激な減少による受け入れ地域の経済悪化など、集中による問題も起こっている。
本稿では、まず各国旅行者の宿泊施設タイプ別の集中度を統計的に観察する。次に需要増に貢献する観光アメニティを特定することで、インバウンド旅行者が集中している施設から受け入れ余力のある施設に滞在先を分散するための知見を得る。分析には「宿泊旅行統計調査」の事業所レベルデータ、OTA (Online Travel Agency) 情報と地域別観光資源のデータを用いた。結果より、各施設のインバウンド需要に影響を与えるのは、客室数、平均価格、チェーンか独立系か、インターネットの有無、部屋のタイプ、世界遺産数、直行便数である。特にインバウンド旅行者の受け入れ余力がある旅館においては、独立系、インターネット利用可、洋室有り、世界遺産、温泉施設が需要獲得に効果的であった。