執筆者 | 川濵 昇 (ファカルティフェロー)/武田 邦宣 (大阪大学) |
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発行日/NO. | 2020年2月 20-J-013 |
研究プロジェクト | グローバル化・イノベーションと競争政策 |
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概要
巨大なオンラインプラットフォーム事業者の多くは、オンライン広告事業者でもある。オンライン広告における利益は、それらプラットフォーム事業者がユーザーに対して無料で提供するサービスの原資となっている。また、オンライン広告は、多様なパブリッシャーが広告インベントリをマネタイズする機会となっている。このように、オンライン広告は、インターネットにおける最も重要なエコシステムの一つである。同オンライン広告市場について、現在、諸外国においてセクター調査がなされている。それら調査に共通する問題関心は、市場の不透明性である。本稿は、オンライン広告の配信システムであるプログラム広告のシステムを、競争分析に必要な限りで整理するとともに、市場の不透明性を背景とした競争法・競争政策上の論点を整理する。1)オンライン広告市場における競争上の優位性は、アドテク、データ、広告インベントリにあるところ、グーグルがそれら全てにおいて有力な地位にあること、2)アドテクのなかでもパブリッシャー側のアドサーバーにかかる力を利用したアドエクスチェンジ間の競争制限が大きな問題となっていること、3)連続的なセカンドオークションが実施されることによりグーグルが大きな収益を得ることのできる地位にあることなど、諸外国における論点は、わが国における今後の政策、法執行にも参考になるものと考えられる。