執筆者 | 長岡 貞男 (ファカルティフェロー)/枝村 一磨 (神奈川大学)/大西 宏一郎 (早稲田大学)/塚田 尚稔 (新潟県立大学)/内藤 祐介 (株式会社人工生命研究所)/門脇 諒 (一橋大学) |
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発行日/NO. | 2020年1月 20-J-001 |
研究プロジェクト | イノベーション政策のフロンティア:マイクロデータからのエビデンス |
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概要
企業の基礎研究は、当該企業のサイエンス吸収能力などその研究開発能力を高め、またスピルオーバーを通して、産業全体のイノベーションパフォーマンスを高めていく上でも重要である。本稿は、新たに構築した日本企業の研究開発投資の構造とパフォーマンスの長期パネルデータによって実施した以下の四つの研究の成果を報告している。
(1) 企業の基礎研究が、応用研究、開発研究の生産性への効果を通して、研究開発パフォーマンスを高めるモデルを構築し、内部基礎研究、産学連携研究(大学等への委託研究等支出)、政府からの受託研究の効果を計測する。
(2) 情報通信技術は、世界的に研究開発における重要性が高まっているが、日本産業のこの分野の研究開発は2007年をピークに約3分の2に減少した。本研究では、企業の情報通信分野の研究開発のパフォーマンスの経時的な変化を分析する。
(3) 企業間の技術スピルオーバーが、活用企業と源泉企業の基礎研究、並びに人材の専門分野の重なり、産業連関(同一産業か異産業か)など両企業の関係にどのように影響されるか分析する。
(4) 最後は、各企業のスピルオーバー・プールの研究開発への効果が、プールの研究開発投資の類型と各企業の研究開発投資の類型の相互作用によってどのような影響を受けるかを分析する。
こうした知見を踏まえて潜在的な政策含意も述べる。