企業貯蓄の源泉と使途に関する実証分析

執筆者 深尾 京司 (ファカルティフェロー)/池内 健太 (研究員)/金 榮愨 (専修大学)/権 赫旭 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2019年11月  19-J-064
研究プロジェクト 東アジア産業生産性
ダウンロード/関連リンク

概要

本論文は2003年から2015年までの『経済産業省企業活動基本調査』の調査票情報を用いて、企業貯蓄の源泉と使途について分析した。得られた主な結果は以下のとおりである。1)世界金融危機の以前には大企業が企業貯蓄を増やしているが、2008年以降は中小・中堅企業が企業貯蓄を積み増しており、企業貯蓄の増加の主な源泉は当期純利益率の上昇であった。2)金融危機以降、大企業は企業貯蓄を増やすより配当金を増やしていた。3)企業規模と関係なく、企業貯蓄の使途は流動資産の積み増しであった。4)企業貯蓄の使途先として、流動資産の積み増しや負債返済は製造業より卸売業と小売業が主導した。