中心市街地活性化政策の商業面への影響に関する実証分析―熊本市を例とした事業所レベルミクロデータ分析―

執筆者 本田 圭市郎 (熊本県立大学)/河西 卓弥 (熊本県立大学)
発行日/NO. 2019年11月  19-J-063
研究プロジェクト コンパクトシティに関する実証研究
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概要

本研究は、熊本市を例にして、中心市街地活性化政策の効果について、place-based policy(地域に基づく政策)に対する精緻な評価手法である差の差法を用いて、特に商業面への影響の検証を試みるものである。2006年に改正された中心市街地活性化法に基づく活性化政策は、その効果の検証としては、自治体が自ら公表するフォローアップが行われているのみであり、さらにその指標も単純な前後比較が主である。本研究では具体的な地域に対象を限定し、より因果効果を意識した形で政策の効果の検証を行う。本研究では具体的な地域として、熊本市に注目する。熊本市は、内閣府の第1期計画時から認定を受け、現在3期目まで継続している12地域のうちの1つである。今後の九州経済を支える都市として、全国的には中規模の地方都市の代表例として、効果の検証が期待される都市である。

本研究では、データの都合上、第1期基本計画期間(2007年~2012年)の既存の小売業についての事業所レベルミクロデータを主に扱い、いくつかの商業面へのアウトカムに対して中心市街地活性化政策が効果を持つのか分析を行った。対象地域に対する差の差法による検証の結果、いずれのアウトカムでも有意な正の影響は確認することができなかった。自治体のフォローアップでは主に人の往来などへの効果が主張されるが、それらのアウトカムの先にある商業面での活性化に繋がっているとは言い難い。