地方創生政策の効果分析のための汎用型地域間産業連関モデル

執筆者 石川 良文 (南山大学)
発行日/NO. 2019年11月  19-J-062
研究プロジェクト イノベーションを生み出す地域構造と都市の進化
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概要

地方創生の効果分析では一般に地域内産業連関分析が用いられる。しかし、市町村など実際に地方創生政策が行われる地域を対象とした場合、当該地域の産業連関表が存在しないために、まずは独自に産業連関表を作成する必要がある。産業連関表の作成には、サーベイ手法、ノンサーベイ手法、ハイブリッド手法があるが、サーベイ手法は正確ではあるが、費用と労力の問題がある。また、これまで一般に用いられてきた伝統的な地域内産業連関モデルによる経済効果の分析には、様々な問題がある。つまり、実際には、発生した所得は労働者の通勤により地域外に漏出し、また地域内で居住する労働者も一部の消費活動は地域外で行うが、通常のモデルではこれが考慮されていない。さらに、経済効果の推計においては、自給率がその大小に大きく作用するが、自給率を如何に推計するかも課題である。

そこで本研究では、これらの課題を解決する汎用的な地域間産業連関モデルを開発した。そのために、財サービス取引の域内自給率の決定モデルも併せて構築した。そして、開発した地域間産業連関モデルにより、事例分析として愛知県瀬戸市と福島県南相馬市を対象とした地方創生政策の効果分析を行った。構築した汎用型地域間産業連関モデルを用いることにより、産業連関表の作成を行わなくても全ての市町村で地方創生政策の効果分析を精度よく分析することが可能である。