執筆者 | 橋本 由紀 (研究員)/小前 和智 (東京大学) |
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発行日/NO. | 2019年10月 19-J-053 |
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概要
本研究では、1990年代から続くタクシー需要の長期的な減少の一因が、福祉政策の拡充に伴う自家用福祉車両の増加にあったことを明らかにする。都道府県パネルデータを用いた分析の結果、自家用福祉車両の10%の増加はタクシーの輸送人員を0.9%、営業収入を1.3%減少させていた。そして、運送収入に比例した歩合に強く依存するタクシー運転者の賃金構造を反映し、営業収入の1%減少によって、タクシー運転者の賃金は1.3%低下していたこともわかった。タクシーやバス事業者による運送を補完する目的で認められた自家用福祉車両による輸送が、実際には移動困難者の個別輸送ニーズの大部分を担い、結果、タクシー需要の一部は、自家用福祉車両に代替されたと考えられる。
※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:21-E-074