執筆者 | 吉川 洋 (ファカルティフェロー)/安藤 浩一 (中央大学) |
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発行日/NO. | 2019年5月 19-J-033 |
研究プロジェクト | 経済主体間の非対称性と経済成長 |
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概要
先進国の経済成長を生み出すのは需要の伸びの大きい新しいモノ・サービスの創出であり、新しいモノ・サービスの創出は産業/セクターの構造を変化させる。こうした問題意識に基づいて、前稿では、経済成長と産業/セクターの構造変化の間に正の相関が存在することを見出した。
本稿でも、セクターを産業連関表の「細分類」を基本として定義した上で計算式を改善し、需要構造に関連が深い行分類データのみならず、生産構造に関連の深い列分類データでの分析も行った。列分類データによる分析でも、成長率とセクターの構造変化の間に見られる正の相関は細分類でより明確であり、それは2000年代に入ってからも同じように見られることが確認された。さらに、成長率と産業/セクターの構造変化を労働力についても調べ、労働力の部門間シフトも経済成長率とマイルドな正の相関をもつことが分かった。労働力・労働生産性の伸びと各セクターの成長の関係を10年ごとに調べた結果、高齢化の進展や需要のシフトから今後もサービス部門が付加価値の伸びの担い手となるだろうが、一方で生産性の上昇が大きいのは製造業だと考えられる。