執筆者 | 水町 勇一郎 (東京大学社会科学研究所) |
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発行日/NO. | 2019年3月 19-J-011 |
研究プロジェクト | 労働市場制度改革 |
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概要
2018年6月、「働き方改革関連法」が成立した。この「働き方改革」の柱の一つは「同一労働同一賃金」の実現である。しかしこれは、同一の労働に対し同一の賃金を支払う「職務給」制度の導入を強制しようとするものではない。日本の「同一労働同一賃金」改革とは、そもそもどのような内容のものなのか。それは何を目的としているのか。そこには日本的な特徴があるのか。この改革に伴ってどのような課題が生じる可能性があるのか。本稿では、この日本の「同一労働同一賃金」改革の内容、趣旨、特徴および課題を、労働法学の観点から明らかにし、本改革を正確な理解の下で進めていくための道筋と課題を明らかにする。日本型「同一労働同一賃金」の最大の特徴は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の「均等」待遇のみならず「均衡」待遇が法的に求められている点にあり、この点は世界でも先例的な意味をもつものであることが、本稿によって明らかにされる。