公益社団法人と認定特定非営利活動法人との相違とその意味 〜日本における公益的社団法人の構造把握に向けて〜

執筆者 岡本 仁宏 (関西学院大学)
発行日/NO. 2018年5月  18-J-018
研究プロジェクト 官民関係の自由主義的改革とサードセクターの再構築に関する調査研究
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概要

公益社団法人と認定特定非営利活動法人を中心にして、日本における非営利社団法人の一般的形態を持つ法人格の構造を把握する。
最も基本的な人間組織の形態であるassociationは、一方で、株式会社のような営利追求形態をとるが、他方では、非営利かつ公益追及の形態をとる。このスケール上に、特定領域限定ではない一般的法人形態として、会社、一般社団法人(普通法人型)、一般社団法人(非営利型)、特定非営利活動法人、認定特定非営利活動法人、公益社団法人が並ぶ。本稿は、これらのうち、非営利性を持つ法人を、平成29 年度第4回サードセクター調査データ、「公益法人の概況及び公益認定等委員会の活動報告」(平成29年度版)等の既存調査資料を用いてその特性を概観した。
特に公益社団法人と認定特活法人との間には、興味深い差異が見いだされた。後・坂本(2017)の分類では、「脱主務官庁制の非営利法人」に該当する法人格の内部においても重要な差異がある。
公益社団法人は旧制度からの移行法人がほとんどであり、シルバー人材センターや、同業組合、専門職団体、外郭団体などの割合が過半数を占める。その旧来からの性格と新しい法制度との間で齟齬がある場合もあり、その調整あるいは変容が課題となっている。特定非営利活動促進法の改正以後認定特活法人の数は増大してきたが、制度改革後の新規の公益社団法人の伸びは鈍い。ただし、一般社団法人の急速な増大、近年の認定特活法人の増大、少ないとはいえ新規公益社団法人の参入など、社団法人領域は大きな変動を遂げ、セクターの新しい構図の可能性も示唆されている。