執筆者 | 森川 正之 (副所長) |
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発行日/NO. | 2018年3月 18-J-012 |
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概要
本稿は、旅行客フローに対する地理的距離や国境の影響の実証分析である。移民、旅行客などヒトの移動に対してグラビティ・モデルを適用した研究は多数存在するが、国際的移動と国内の地域間移動をともにカバーした分析は稀である。本稿は、日本の宿泊施設を対象としたユニークな政府統計データを使用し、国際的なフローだけでなく国内の地域間フローも含めてミクロレベルでの計測を行う。分析結果によれば、物理的な距離は旅行客フローに対して大きな影響を持っているが、国内の旅行客と海外からの旅行客の間で大きな違いは見られない。旅行客フローに対して大きな国境効果が存在し、仮に同じ地理的距離だったとしても国境を超える旅行客は-60%以上少ない。以上の結果は、外国からの訪日客を拡大する上で、国境の影響を緩和する政策の余地があることを示唆している。
※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:18-E-021