労働時間が生活満足度に及ぼす影響-日本における大規模アンケート調査を用いた分析-

執筆者 鶴見 哲也 (南山大学)/馬奈木 俊介 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2017年12月  17-J-073
研究プロジェクト 人工知能等が経済に与える影響研究
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概要

本研究では労働時間が生活満足度に及ぼす影響を日本における独自の大規模アンケートデータを用いて検証する。労働時間と生活満足度の関係性を扱った先行研究はドイツを対象としたRätzel (2012) 程度であり、研究の蓄積が必要な分野と考えられる。分析では先行研究で考慮されていない労働時間と生活満足度の関係性における非線形性を考慮するためにセミパラメトリック手法を用い、長時間労働が強く生活満足度を低下させる時間を明らかにしている。また、大規模アンケートデータの強みを活かし、年代別、男女別、婚姻状況、共働きかどうか、所得別、就業形態別(正社員、非正規社員、自営業、パートタイムなど)、産業別、業種別といった個人の特徴ごとに労働時間と生活満足度の関係性が異なるかについてもサンプル別検証を行っている。分析の結果、個人属性別にも、就業形態別にも、産業別・業種別にも労働時間と生活満足度の関係性が異なることが示唆された。