地方創生と自治体・サードセクター間の財政関係

執筆者 喜多見 富太郎 (京都産業大学)
発行日/NO. 2017年11月  17-J-067
研究プロジェクト 官民関係の自由主義的改革とサードセクターの再構築に関する調査研究
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概要

本稿は、自治体・サードセクター間の財政関係について、地方創生を担う市町村の行政執行体制の観点および非営利法人の主務官庁制の観点から検証した。まず、総務省の地方財政状況調査データにより、市町村の行政執行体制を直接執行、委託執行、間接執行という観点から分析した。分析結果は、第1に、自治体の小規模性、人口減少、高齢化という人口三要因は、市町村行政の執行体制のあり方、サードセクターの立地に影響していること、第2に、市町村の執行体制では、人口規模の小規模化、人口減少、高齢化の程度と、直接執行・委託執行の比重の低下、間接執行の比重の上昇との間に緩やかな相関関係が認められること、第3に、執行体制のあり方は政策分野で異なり、直接執行と委託執行・間接執行の間の代替関係が異なること、第4に、サードセクターの立地は、法人格の種類や事業活動目的で人口三要件の影響が異なること、が認められた。以上からの政策的含意として、今後の地方創生では、政策分野ごとに市町村-サードセクター関係のあり方での人口三要件に関する行政の執行体制の変容やサードセクターの立地集積特性を踏まえた互恵的な行政-サードセクター関係の構築が課題であることがわかる。