執筆者 | 大熊 正哲 (岡山大学) |
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発行日/NO. | 2017年10月 17-J-064 |
研究プロジェクト | 地方創生に向けて地域金融に期待される役割-地域経済での雇用の質向上に貢献するための金融を目指して- |
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概要
本研究では、2000年代末のグローバル金融危機における日本の国内地域金融機関の破綻リスクの決定要因を、所有形態とコーポレート・ガバナンス構造の影響を中心として実証的に分析する。本研究の主要な分析結果は以下の通りである。第1に、協同組織である信金・信組は株式会社組織である地域銀行よりも高い安定性を確保している。第2に、「株主重視型」の取締役会を有する地域銀行はそうでない場合よりも破綻リスクが高く安定性が低い。他方、信金・信組の理事会のあり方と安定性の間に有意な相関は見出されない。なお、一部の信金・信組のきわめて高い安定性は協同組織金融機関のコーポレート・ガバナンスの脆弱性を反映している可能性があるが、本研究の分析からはそうした推論を支持するエビデンスは得られなかった。