テクノロジーの進化による不安の背景分析

執筆者 戸田 淳仁 (リクルートワークス研究所)/中馬 宏之 (ファカルティフェロー)/林 晋 (京都大学)/久米 功一 (東洋大学)
発行日/NO. 2017年8月  17-J-049
研究プロジェクト 人工知能が社会に与えるインパクトの考察:文理連繋の視点から
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概要

本稿は、教師(小中高)、ITエンジニア、部下あり管理職(営業職)を対象とした日米のアンケート調査を用いて、AIを代表とするテクノロジーの進化によって、所得が低下する不安や、仕事が失われる不安がどれだけあるかを調べた。日米比較では、日本ではどちらともいえないの回答割合が高かったが、日米ともに一定数は不安を感じている者がいた。そこで、不安を感じている者の特徴を把握するために、プロビット分析を行った結果、勤勉性や開放性など非認知能力の指標は日米それぞれにおいて、そうした傾向のある者ほど不安を感じていないことが分かった。また、日米において普段の行動や考え方、自己変化能については職種によって違いが見られた。本稿では厳密な因果関係を検証していないが、人々の考え方や態度が変わることによりテクノロジーに対する不安も変わる可能性があることが示唆される。