執筆者 | 永田 邦和 (鹿児島大学) |
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発行日/NO. | 2017年8月 17-J-046 |
研究プロジェクト | 地方創生に向けて地域金融に期待される役割-地域経済での雇用の質向上に貢献するための金融を目指して- |
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概要
本稿は、資本注入政策が地域銀行の貸出行動(総貸出や中小企業向け貸出、担保・保証付貸出)に与える影響を実証的に検証している。本稿の分析結果は、以下の通りである。第1に、資本注入を受けた銀行は総貸出や中小企業向け貸出を増加させている。第2に、資本注入行の担保・保証付貸出比率が上昇することはなく、下落する傾向にある。資本注入行は貸し出し(特に、中小企業向け貸出)を増加させ、担保や保証の利用を減らしていることから、日本の資本注入政策は効果的であるといえる。第3に、金融機能強化法の震災特例による資本注入行は、担保や保証を利用せずに中小企業向け貸出を増加させており、震災特例による資本注入は被災地の復興を金融面から強く支えている。第4に、資本注入政策の効果は、経済が成長している都道府県と衰退している都道府県では正反対であり、経済が衰退している都道府県では、資本注入行の貸し出しは増加しているが、担保や保証の利用は減っていない。