国外所得免除方式への移行が海外現地法人の企業活動に与えた影響

執筆者 長谷川 誠 (政策研究大学院大学)/清田 耕造 (リサーチアソシエイト)
発行日/NO. 2017年5月  17-J-038
研究プロジェクト 企業成長のエンジンに関するミクロ実証分析
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概要

日本は2009年度税制改正において外国子会社配当益金不算入制度を導入し、海外子会社から日本の親会社に支払われる配当が一定の条件の下で非課税(益金不算入)となった。この税制改正の結果、日本の法人所得に関する国際課税制度は海外所得を非課税とする国外所得免除方式へと移行した。本研究は、この制度変更が日本の多国籍企業の海外現地法人の設立数、利益、売上高、雇用、設備投資などの企業活動に与えた影響を検証する。分析の結果、税制改正以前から立地国の法定法人税率は現地法人数に負の影響を与えていることが示された。しかし、税制改正による配当還流税率の低下に反応して、投資先国での現地法人数、雇用、設備投資、報告利益が増加したという影響は確認できなかった。