執筆者 | 中室 牧子 (慶応義塾大学) |
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発行日/NO. | 2017年3月 17-J-014 |
研究プロジェクト | 医療・教育の質の計測とその決定要因に関する分析 |
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概要
2014年秋、財務省の財政制度審議会で問題提起が行われて以降、少人数学級の効果についてさまざまな議論が行われている。本研究では、関東近郊の自治体から提供された学校別個票データと、学級規模編成の不連続性を利用して、学級規模の縮小がいじめ・暴力・不登校に与える因果効果を明らかにすることを試みた。その結果、学級規模の縮小は小学校の不登校を減少させる因果効果があることが明らかになり、加配教員の配置も大きな効果がある可能性が示された。しかし、小学校のいじめ・暴力や中学校では効果がなかった。いじめ・暴力・不登校と一括りにされがちな問題ではあるが、それらを解決するための方法は同じではなく、学級規模の縮小や加配教員以外人も、教員の定数増加だけでなく、他の政策オプションも検討していく必要があると考えられる。