執筆者 | 岩本 晃一 (上席研究員) |
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発行日/NO. | 2016年10月 16-J-057 |
研究プロジェクト | IoTによる生産性革命 |
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概要
石川県加賀市は、2014年5月に民間研究機関「日本創成会議」の「人口減少問題検討分科会(座長:増田寛也元総務相)」報告書のなかで、石川県の金沢市以南の自治体の中で唯一の「消滅可能性都市」とされた。
本稿は、加賀市をモデルケースとして「IoTによる地方創生」(研究計画テーマ3)を実行するに当たり、まず、加賀市において進行している人口減少の現状を正確に把握し、人口減少の要因を分析するものである。地方創生は、何でもやればよいというものではない。風邪をひいている患者に腹痛の薬を処方しても効果はない。加賀市に対して薬を処方し、治療を施すに当たって、まず、加賀市が発症している人口減少病の原因を突き止めることから開始する。地方創生は、「エビデンスに基づく政策」が最も求められる分野である。そうしなければ旧来通りの単なるバラマキになってしまう。2016年2月2日、石川県は2015年の国勢調査速報を発表した。2015年10月1日時点の県内人口は、2010年の調査と比べ、-1万5445人(-1.32%)の115万4343人となった。減少が最も多かったのは、加賀市の-4652人であり、石川県全体の総減少数のうち、30.2%を占めるほどの大幅な減少となった。加賀市の過去5年間の年平均減少率は-6.47%と大きな減少率である。本稿では、加賀市の人口を増やすための対策として、(1)最も賃金が高く雇用が安定している就職希望の高い製造業を振興し、雇用者数を増やす。その目標は、生産性の伸び以上の割合で売上高を増やす。(2)女性にとって最も不満の大きい楽しめる商店街を創出する。(3)台湾と関東からの観光客をターゲットとした観光振興を行う。を提言している。