有配偶女性のジェンダー意識・仕事意識と子どもへの影響―2014年「女性の活躍」調査の分析より―

執筆者 本田 由紀 (東京大学)
発行日/NO. 2016年4月  16-J-042
研究プロジェクト 労働市場制度改革
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概要

「女性の活躍」が政策的に謳われながらも捗々しく進展しない現状を脱するためには、女性のジェンダー意識および仕事意識の実態とその多様性、規定要因と派生的影響を把握する必要がある。本稿は、2014年「女性の活躍」調査データを用いて、有配偶女性におけるジェンダー意識と仕事意識の類型はどのように分布しているか、各意識類型と関連する諸要因は何か、それが子どもの状態とどのように関連しているかについて分析を行う。分析結果によれば、第1に、2014年「女性の活躍」調査では、ジェンダー意識については保守的で仕事意識が消極的である類型が3分の1と多数を占め、1995年時点の他の調査と比較しても増加していることがうかがわれる。第2に、このような意識類型の分化は、能力自己評価、余暇の過ごし方、家庭の重視度などの要因と関連している。第3に、こうした意識類型は、子どもの性別に応じて異なる影響を子どもに対して及ぼしている可能性があることが見出された。