執筆者 | 戸田 淳仁 (リクルートワークス研究所) |
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発行日/NO. | 2016年2月 16-J-008 |
研究プロジェクト | 労働市場制度改革 |
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概要
労働基準法改正案に、一定要件を満たせば時間外などの割増賃金の支払い義務等の規定を適用除外とする「高度プロフェッショナル制度」が盛り込まれるなど、正社員の働き方に関して議論が進んでいる。そこで、本稿では(独)経済産業研究所が実施したWebアンケート調査の結果から、正社員の労働時間制度、特にフレックスタイム制度や裁量労働制など現行の制度を適用されている者の労働時間、賃金、満足度について把握し、正社員の働き方に関する政策的な示唆を議論した。
その結果、(1)裁量労働制や事業場外労働のみなし労働時間制などの適用を受けている労働者は、仕事の量を自分で決めることができる傾向がみられるなど、より柔軟な働き方が可能な職務についていること、(2)裁量労働制の適用者について、週当たり労働時間は、非適用者と比較して長くなる傾向があるが、時間当たり賃金率で見ると非適用者と比べて高まっており、労働時間が長くなった分賃金率で補てんされていること、(3)裁量労働制やフレックスタイム制度の適用を受けている者は生活満足度に有意な差がないこと、などがわかった。「高度プロフェッショナル制度」の導入に向けて、適用要件などが今後議論されるが、その際に適用範囲や処遇などを適切に定めれば、弊害を軽減される可能性があると示唆される。