執筆者 |
近藤 恵介 (研究員) |
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発行日/NO. | 2015年3月 15-J-011 |
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概要
先行研究において日本の失業率の地域間格差は徐々に減少していることが指摘されている。そこで、本論文では、人口移動が地域労働市場間の調整としてどのように機能しているのかを1980年から2010年までの市区町村データを用いて実証的に明らかにする。本研究の特徴は、空間計量経済モデルを用いることで、人口移動の地域間の相互従属性を同時に考慮している点である。分析結果より、高失業率が人口移動のプッシュ要因として機能していたこと、また人口流出率と人口流入率がそれぞれ正の有意な空間従属性を示すことを明らかにしている。さらに、人口流出率の高い地域ほど、失業率の変化率が低く抑えられていることも明らかにされる。以上の分析結果を考慮すると、高失業率によって広範に地域から人口が流出し、そのような人口移動パターンが失業率の地域間格差縮小に寄与していたということが強く示唆される。