執筆者 |
宇南山 卓 (コンサルティングフェロー) |
---|---|
発行日/NO. | 2014年10月 14-J-048 |
研究プロジェクト | 日本経済の課題と経済政策Part2-人口減少・持続的成長・経済厚生- |
ダウンロード/関連リンク |
概要
本稿では、理論的なモデルを構築することで、日本において未婚率が上昇したメカニズムを考察した。結婚によって、女性が労働市場を退出し、所得が不可逆的に低下することは依然として一般的である。労働市場での所得低下の可能性があることは、それだけで結婚という意思決定の機会費用となる。さらに、結婚後の家計内交渉を考慮に入れると、妻の所得の低下は、家計内における妻の交渉力を弱め、結婚のコストを妻が負担することになる。この構造のため、夫婦合計ではメリットがある場合でも、女性が結婚を選択しない可能性がある。実際に日本のデータを観察すると、フルタイム労働者としての女性の労働条件が改善した一方で、パートタイム労働者としての待遇改善が遅れており、これが未婚化を進行させた最大の要因だと考えられる。