執筆者 |
栗田 匡相 (関西学院大学) |
---|---|
発行日/NO. | 2014年5月 14-J-035 |
研究プロジェクト | グローバル化と災害リスク下で成長を持続する日本の経済空間構造とサプライチェーンに関する研究 |
ダウンロード/関連リンク |
概要
本稿では、改革開放以来、中国政府が一貫して採用してきた外資導入による国内産業の育成、発展といった産業政策の是非を、そうした戦略がハイテク産業において結実したと思われる中関村科技圏区の事例、また中国の高度経済成長を牽引してきた沿岸の開放都市における生産性の改善という事例について産業集積の視点から検証した。分析からは、産業集積を図った政策によって生じるはずのメリット、スピルオーバー効果といった点で、中関村科技圏区、沿岸開放都市のそれぞれにおいて限定的であったといえる。無論、生産性の高い企業を誘致するといった意味では中国政府の思惑は一定程度成功してはいるが、産業集積によるメリット、つまりは現地企業への技術的スピルオーバーや企業間ネットワークの構築といった点では、本稿が対象としている期間を見る限り、大きな効果が観察されているとは言い難い。