執筆者 | 西村 和雄 (ファカルティフェロー)/平田 純一 (立命館大学)/八木 匡 (同志社大学)/浦坂 純子 (同志社大学) |
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発行日/NO. | 2014年2月 14-J-011 |
研究プロジェクト | 日本経済社会の活力回復のための基礎的研究 |
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概要
本稿では、子供の頃になされた躾が、その個人の成人後の労働所得に与える影響を調べることにより、躾が労働市場における評価にどのような影響を与えているかを検証する。分析の結果、労働市場の評価に大きな影響を与える躾は、本稿の中で定義する「4つの基本的なモラル」(「うそをついてはいけない」、「他人に親切にする」、「ルールを守る」、「勉強をする」)であることが示された。この4つの基本的なモラルの躾をすべて受けた者と、1つでも欠けた者との間での所得(年収)比較を行うと、基本的なモラルの躾をすべて受けた者はそうでない者よりも約64万円多く所得を得ていることが示されている。さらに、4つの基本的なモラルの躾をすべて受けた者と、すべて受けていない者との間で比較すると、基本的なモラルの躾をすべて受けた者はそうでない者よりも約86万円多く所得を得ていることが示された。さらに、本研究では、躾の倫理観および価値判断に与える影響を分析し、4つの躾を受けたものは社会性の高い価値判断をする傾向にあることが示された。
Forthcoming: Nishimura, Kazuo, Tadashi Yagi, and Makoto Yano. "Parenting methods in relation to norm awareness, social success, and perspectives of family in adulthood," Journal of Computational Social Science.