執筆者 |
東條 吉純 (立教大学) |
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発行日/NO. | 2013年8月 13-J-055 |
研究プロジェクト | 現代国際通商システムの総合的研究 |
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概要
文化的財のデジタル化およびブロードバンドネットワークの整備に伴い、文化的財がオンライン上で「情報」として生産・流通・取引されるという取引形態が急速に拡大している。こうした取引実態の変容は、2つの方向で大きな変化をもたらす。まず、アナログ環境下の有体物取引を念頭に置いた伝統的な理論および規制は、合理的根拠を失うことになり、法政策論として大幅な見直しを迫られる。次に、ネットワーク上の「情報」への自由かつ公正なアクセス保障という観点から、デジタル文化的財の生産・流通・取引などの諸活動にかかるボトルネック事業者に対して差別禁止を義務付ける中立性規制の重要度が高まる。しかしながら、競争法の観点からは、中立性規制はかえってイノベーションや効率性を妨げるおそれがあり、過剰規制リスクが伴うため、規制導入には慎重な姿勢が求められる。デジタル文化的財に対する法規制においては、伝統的な議論の対立を止揚し、真に文化多様性の実現に貢献しうる法規制を適切に設計することが必要である。