執筆者 |
藤原 徹 (明海大学) |
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発行日/NO. | 2011年1月 11-J-008 |
研究プロジェクト | 政策評価シミュレーションモデル |
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概要
本稿では、自家用乗用車部門における温暖化対策に焦点を当て、「自動車グリーン税制」のうち、(1)自動車税のグリーン化、(2)低燃費車の取得に係る自動車取得税の特例、(3)低公害車の取得に係る自動車取得税の特例の3つの施策が、消費者の自動車購入行動に与えるインパクトについて、施策導入後(平成16年度)のデータを用いて推計した。
価格体系の変化による効果だけを取り出した場合には、これらの施策は、「環境負荷の小さい自動車の普及」という目的に若干は資するものの、減税による自動車の購入費用の低下により、施策がない場合には自家用乗用車を買わない消費者の購入を促し、CO2排出量の増加を招く可能性があることが分かった。ただし、車両コスト全体に占める減税額の割合が大きくないことなどから、インパクトそのものは大きくないことも分かった。
仮想的な政策として、ハイブリッド車に対する減税率を大幅に拡大するのと同時に、ガソリン車に対する取得税の減税を廃止し、ハイブリッド車との価格差を縮小する政策をシミュレートした。その結果、減税措置がある程度のインパクトを持つためには、(1)ハイブリッド車に対する減税率を極端に大きくする必要があることと、(2)ガソリン車に対する減税措置をやめることで、消費者の購買促進効果をなくすと同時に、ガソリン車とハイブリッド車の価格差を縮小することが必要であることが示唆された。