執筆者 |
中西 寛 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2010年8月 10-J-048 |
研究プロジェクト | 大国間秩序の変化と日本外交の課題 |
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概要
現在の世界は冷戦終焉後のアメリカ一極体制から多極秩序への移行の初期段階にある。オバマ政権はこうした認識に沿ってアメリカ外交を再編しようとしている。急速な経済回復などでその存在感を増した中国も多極秩序の一角として地歩を固めようとしている。他の主要国であるEU、ロシア、インド、ブラジルもそれぞれに多極秩序の中での立場を模索している。当面国際社会に明白なリーダーシップは生まれないが、決定的な破局も予測しにくい。米中関係の軸とG20のような多国間秩序の軸が並行しつつ、国際秩序が運営されるが、政治秩序はグローバル・ガバナンスに関して協調的側面が示されるが、経済秩序は徐々に自由経済体制が侵蝕されていくことが予想される。
日本にとって国際情勢は相対的に厳しくなり、相対的な国力も低下の方向にある。しかしとりわけ東アジア~太平洋地域での役割を強化することで国際社会で一定の発言力を保ち、国際秩序の構築運営に参画することができる。そうした方向が日本の安定と繁栄のための基本的指針となるだろう。