執筆者 |
赤井伸郎 (ファカルティフェロー) /中村悦広 (財団法人建設物価調査会 総合研究所) /妹尾 渉 (平成国際大学) |
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発行日/NO. | 2009年5月 09-J-006 |
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概要
国立大学法人のガバナンスを考える上で「個々の大学への資金配分をどのようなルールに基づいて行うのか」という問いは、大学法人の次期中期計画の策定が控えるなかで、非常に重要な政策的意味合いを持つ。本稿では、現在の国立大学法人の収入のほぼ5割を占める、運営費交付金の配分の現状評価および算定上の限界について明らかにし、先の問いに答えるための議論の土台を提供することを目的とする。まず、「教育研究などに対する運営費交付金」の構造分析を通じて、その配分の決定要因を探った。結果として、運営費交付金のうち競争的な経費の配分に関しては、現在においても国が裁量の余地を有し、前年度配分が少ない大学に今年度配分するという財源保障型の配分が行われている傾向があることが明らかとなった。次に、「付属病院に対する運営費交付金」の構造分析からは、現状の交付金の予算と決算には会計上の不一致がみられることを示し、次期中期計画の配分ルールの策定においては、会計上の不備を見直し収支の透明性を高めた上での議論が必要であることを指摘した。