執筆者 |
森川 正之 (上席研究員) |
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発行日/NO. | 2008年7月 08-J-031 |
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概要
本稿は、日本のサービス産業の生産性に関する集計データでの観察事実を概観した上で、筆者自身が最近行ったいくつかの研究を含めてサービス産業の生産性に係る研究を選択的にサーベイし、サービス産業の生産性について何がわかっているのかを確認するとともに、今後の研究課題や必要なデータ整備について考察する。
どういうサービス企業・事業所の生産性が高いのか、どういう政策が生産性向上に資するのかに示唆を与える研究成果も現れてきている。政策的には、高生産性企業のプラクティス普及、それら企業の市場シェア拡大をはじめ新陳代謝の活発化、良好な労務管理や企業統治メカニズムの構築、産業横断的な諸制度と生産性の関係の検討等幅広い対応が必要である。
しかし、そもそもサービス産業の生産性が高いのか低いのかを含めて、わかっていないことの方が多いのが実情である。サービス産業の生産性問題は、断片的なデータやエピソードに基づいて感覚的に議論されることが少なくない。サービス産業の生産性向上に関する的確な政策を検討するためにも、サービス産業の企業・事業所レベルのデータの整備・充実とその十分な活用が望まれる。