地方自治体のインフラ資産活用に対する行財政制度のあり方に関する実証分析-地方空港ガバナンス(整備・運営)制度に関する考察-

執筆者 赤井伸郎  (ファカルティフェロー) /上村敏之  (東洋大学) /澤野孝一朗  (名古屋市立大学) /竹本亨  (明海大学) /横見宗樹  (大阪商業大学)
発行日/NO. 2007年11月  07-J-045
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備考 この論文は2007年11月に発表された論文を改訂したものです。

概要

成熟化社会を迎え、多様化したニーズに応えるため、地方が自己責任で行財政運営を効率的に行える制度に向けた改革が必要となっている。そのためには、効率的なインフラ資産の活用が不可欠である。その際、重要な要素となるインフラ資産が空港であり、地方経済を活性化させる柔軟な制度整備が必要とされている。

本研究では、このような現状を踏まえ多方面から以下の研究を行っている。

第1に、国における空港ガバナンス・システムの評価として、財務会計面から、空港整備特別会計の近年の実態および効率性の計測を行っている。第2に、地方における空港ガバナンス・システムの事例として、地方空港の利用活用の観点から、国営から県営に所有形態が変更された県営名古屋空港に着目し、運営の変化の事例を議論している。第3に、地方における空港ガバナンス・システムの評価として、地方空港の利用活性化に向けた努力としてのチャーター便誘致に着目し、ガバナンス構造との関連を議論している。第四に、地方における空港ガバナンス・システムの評価として、地方自治体が出資して関与する地方空港のターミナルビル会社に着目し、その経営効率とガバナンス構造との関係を議論している。

これらの分析から、整備事業に目途がついた現時点においては、効率的な空港運営が重要となっており、適切な空港ガバナンスとして、地域のインセンティブを高める制度設計の構築が急務であることが明らかとなっている。