メタナショナル経営論からみた日本企業の課題
グローバルR&D マネジメントを中心に

執筆者 浅川和宏  (ファカルティフェロー/慶応義塾大学大学院経営管理研究科)
発行日/NO. 2006年4月  06-J-030
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概要

自国の優位性のみに依拠した戦略に安住せず、世界規模での競争優位を構築するために新たなイノベーションの源泉を世界中で探索・獲得・活用していく、という特徴をもつ所謂「メタナショナル企業モデル」は、実際にはまだごく一部の先進企業でしか実践されていない。まして自国主義の強い日本企業の場合、メタナショナル化には多くの困難が伴う。しかし、一見最も本国志向が強いと考えられるR&D活動において、近年メタナショナル的展開が散見される。本稿では、そうしたグローバルR&Dマネジメントにおける一部の先進的試みに焦点を当て、メタナショナル化に向けての成功の秘訣を探るとともに、グローバル・イノベーションの推進において多くの日本企業に依然根深く残された課題を検討する。「自国主義の克服」「自前主義の克服」「先進国中心主義の克服」といった3つの課題を整理し、わが国のグローバル・イノベーションにむけての示唆を提示する。