執筆者 |
小林慶一郎 (研究員) /秋吉史夫 (東京大学大学院) |
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発行日/NO. | 2006年3月 06-J-021 |
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概要
本稿では、日本の企業財務データを使って、1990年代に発生した銀行の自己資本比率の低下が、借り手企業の生産性にどのような影響を与えていたかを実証的に分析した。その結果、1997-2000年度(特に1997年度、1998年度)の金融危機の時期に、メインバンクの自己資本比率の低下が、借り手企業の生産性の低下を引き起こしていた可能性が高いことが示された。金融危機の発生(1997年11月)は、早期是正措置の導入(1998年4月)と重なった。実証結果では、自己資本比率がもともと低い銀行をメインバンクとする企業ほど、当該銀行の自己資本比率の低下が大きな生産性悪化をもたらすことが示され、自己資本比率の規制基準を短期間で達成しようとした銀行の対応が、実物経済の生産性低下をもたらしたという可能性を示唆している。